制作事例

裸婦と向き合い、そして自分と向き合うクロッキー

上野公園のお花見で賑わう人々を横目に、美術館の一室に籠り2日間連続裸婦クロッキー特訓会に参加しました。

「デッサンとクロッキーは違うの?(スケッチみたいなもの?)」
「なぜ今更クロッキーをするのか?(美大を卒業しているのに?)」

とよく言われます。正直なところ、私もクロッキーの定義はわかっていませんでした。デッサンとは違うけれど、スケッチとの違いが。。。。でした。そこで、今回わかった「クロッキーって何なのか」や「クロッキーをやってみて得られたこと」をここに残しておこうと思います。

なぜ今更クロッキーなのか

話は飛びますが、先日、師から次のような言葉をいただきました。

「今いる環境の中で自分がやるべきことをコツコツと積み重ねていく者が、基礎を手に入れ、基礎の上にからに基礎を積み重ね、気がつくと大きく飛躍しているのである。」

そしてあるトップランカーの言葉を紹介されました。

「どのような分野でも長きに亘り、基礎を繰り返しできるかどうかでまず、ふるいにかけられ、継続できた者のみが生き残り、豊かな極みを知ることができ、その結果、人のお役に立てるのだと思います。」

確かに、私の周りの成功者や売れている方々は、愚直に基礎を繰り返しています。本当だなと思いました。武道でも、基本の型すら身につけないものは「かたなし」と言われ、型ができてこそ「かたやぶり」ができると教えられたことを思い出しました。

今、基本を積み重ねていることはあったっけ???

私が積み重ねると良さそうな基本は?と挙げていくとその中の一つに、「デッサン」がありました(もちろんこの「ブログ」も…)。しかしデッサンよりももっとシンプルで基本っぽいのはクロッキーかな? デッサンについては美大合格のために浪人してまで特訓したことのある私ですが、クロッキーについて振り返ると小学校での図工の時間以来だと気がつきました。クリエイティブの基本に立ち戻って反復練習として、あえて、ほとんどやったことのないクロッキーをやってみたくなったのです。しかも裸婦を描くのは初体験!

クロッキーって何?

(今回の)クロッキーのルールは、

・線一本で描くこと。(先生曰く、線を鍛えるのが目的なので、何本も描いていては上手くならない&品格が落ちる。)
・紙一枚に一つ。

デッサンは、対象の「形を探り」ながら線を何本も引いたり消したりして、面や質感、光と影(陰)で存在を表現していきます。
クロッキーは、「決める」こと。どんな線でモノを言うのか、瞬時に決めて一本の線だけで表現します。じっくり観察したり、あれこれ考えていては、とても時間以内では書き上げることはできません。時間は2分、5分、10分。特に2分の場合、思考を停止させないと描き上げれませんでした。デッサンとクロッキーはある観点では真逆な印象。

瞬時に線を決めると言っても、2分間で解決しなくてはならない事は沢山あるので(構図、形の辻褄、立体感、空間、骨と肉、リアリティ…。)頭の中が、わーーって軽いパニックになることもありました。

描き手の在り方を顕著に現すクロッキー

やってみてどうだったか? 筋トレしてから臨んだ方が良かったかもしれません。そして、描く本人の性質がよく現れました。皆、モデルと向き合いながらも最終的には自分と向き合うこととなりました。

1日目:

40枚程描いたあたりで、腕が上がらなくなりプルプル震えだす。(学生の頃はデッサン5時間しててもこんなことなかったのに…)
手首は固定し(肩は動かす)身体全体で描いて!というアドバイスをいただき、線は確実に良くなってきていました。そして、集中し続けていたからか帰宅途中に強烈な睡魔に襲われる。

2日目:

昨日よりはスラスラ描けるはずと思いきや、こんな風に書きたい!もっと奥行き出すにはここを抜いて!などのエゴが出始め、考えすぎて2分で完成できなくなる。(昨日は仕上げれていたのに!?)そして、自己嫌悪。決断は早い方だと思っていたからか、遅いということにやたらとショックを受ける。

まず、筋力や集中力、決断力が全然なっていないんだなと感じました。これは、クロッキーだけのことでなはく仕事や日常にも影響しているはずです。限られた条件や時間の中で問題を解決し最善の成果を出すことを求められるのは、仕事や日常も同じですからね。

中にはこんな人が見受けられました。先生が「失敗してもいいから線は一本で。探りながら何本もか描かないこと!もちろん消さないで。」と何回言っても、モサモサと何本も線を引いてしまう人。恥ずかしくて線を消しゴムで消して書き直してしまう人。それを頑固に2日間通して変わらないでいる人。これらの方々は残念ながらこの2日間では、恐れや執着を手放すことはできなかったようです。

一方では、線の変な癖を指摘した1回のアドバイスにより、線が劇的に変化し絵がまとまるようになった人。鉛筆より「割り箸ペン」が本人に相性がいいと発見でき方向性が見えてきた人。これらの方々は、素直に自分の正しさをすぐ手放し、失敗を恐れず挑戦し、次のステージに行けたようです。
心のあり方やものの捉え方が、2日間でこんなにも大きく差が開いていくことをクロッキーは現していました。

集中や決断と表現の基礎の基礎に立ち戻る、そして自分に向き合ことのできた2日間でした。誰も喜ばないけど、こういった探求が面白いと思えてえて豊かな時間でした。

基本のススメ

2日間で100枚ほど描いたでしょうか。1000枚ほど描けばだいぶ見えてくるそうです。
先生曰く、「意識が飛ぶほど何枚も描いて、イタコのようになった時に良いのが描けたりするよ、笑」。だそうです。

この探求には制限時間はあれど、ゴールはありません。人生と同じですね。
このようなシンプルで基本的な修行は地味ですが、本質に近づくためのオススメの修行のひとつです。皆さんそれぞれの業界での基本の基本ってなんでしょう。その反復練習があなたを大きく飛躍させることは間違いないと思います。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事一覧

注目記事

最近の記事

イラスト素材・ベクター素材のピクスタ